親族が亡くなった後、遺品整理を始めると、押入れや蔵から古い陶器・掛軸・置物などが次々と出てくることがあります。「これは価値があるのだろうか」「ただの古道具として処分してしまってよいのだろうか」そう悩まれるご遺族は非常に多くいらっしゃいます。

実は、遺品整理の現場では本来数十万円から数百万円の価値がある骨董品が、ゴミと判断されて処分されてしまう事例が後を絶ちません。逆に、価値があると思い込んで大切に保管されていた品が、実は昭和に大量生産された量産品だった、というケースもあります。

本記事では、骨董品買取の現場で数多くの遺品を拝見してきた立場から、専門家でなくても判断できる5つのチェックポイントを解説します。処分してしまう前の最後の確認として、ぜひお役立てください。

【ポイント1】作家の銘(めい)・落款(らっかん)を確認する

骨董品の価値を決める最大の要素は「誰が作ったか」です。作者が明確で、しかも著名な作家であれば、状態がやや悪くても高値が付きます。

陶磁器であれば底の高台部分、掛軸であれば余白の右下や左下、彫刻品であれば目立たない側面や底部に、作家の銘や落款印が刻まれていることがほとんどです。スマートフォンのライトで照らし、文字や印がないかを丁寧に確認してみてください。

注意したいのは、銘が読めないからといって価値がないとは限らないという点です。江戸時代以前の作家の銘は崩し字や篆書(てんしょ)で書かれており、専門家でなければ判読が困難です。読めない場合でも、その部分を写真に撮って保存しておけば、後から買取業者に見てもらう際の重要な判断材料になります。

【ポイント2】共箱(ともばこ)・桐箱の有無

和の骨董品で、ご遺族が見落としがちなのが付属の木箱です。とくに桐で作られた「共箱」と呼ばれる箱は、それ自体が作品の一部とみなされ、共箱の有無で査定額が2倍以上変わることも珍しくありません。

箱の蓋の表側または内側には、作家本人による「箱書き」がされていることが多く、これが本物であることの証明書代わりになります。箱書きには作品名・作者名・落款印が含まれるため、本体に銘がなくても箱から作者が判明することがあるのです。

「邪魔だから」「中身だけあればよい」と箱だけ処分してしまう方が驚くほど多いのですが、これは絶対に避けてください。本体がなくても箱だけで価値が出るケスがあるほど、共箱は重要な存在です。

【ポイント3】素材と重みを確かめる

骨董品を手に取った時の感触は、価値判断の重要な手がかりです。

陶磁器の場合、磁器(白く硬く、薄手なのに適度な重みがある)と陶器(土のぬくもりがあり厚手)で価値の付き方が異なります。古伊万里や鍋島などの磁器は、光に透かして高台周りや絵付けの細かさを見ると、機械生産品との違いが手書きの「ゆらぎ」として感じ取れます。

金属製品では、銀製品が要注意です。長年放置された銀器は黒ずんで一見ガラクタのように見えますが、純銀(SV925、SV950などの刻印あり)であれば、重量だけでも相当な価値があります。「銀器なのに錆びて汚いから捨てる」というのは、最も大きな損失パターンの一つです。

鉄瓶もまた、サビていてもむしろ味わいとして評価される場合があります。龍文堂・亀文堂・金寿堂など著名な釜師の銘があれば、状態が悪くても十万円以上の値が付くこともあります。

【ポイント4】キズや欠けの位置と程度を観察する

完璧な状態でなくても価値があるのが、骨董品の世界の独特なところです。むしろ、修復痕の有無や場所が真贋判定の手がかりになることもあります。

とくに「金継ぎ(きんつぎ)」と呼ばれる、漆と金粉による修復が施された茶碗などは、修復後にむしろ価値が上がるケースもあります。茶道の世界では、由緒ある名物が金継ぎで補修されながら何代にもわたって受け継がれてきた歴史があります。ヒビや欠けがあるからといって「価値ゼロ」と決めつけず、まずは現状のまま査定に出すべきです。

ただし注意点として、自分で接着剤やボンドで修理してしまうと価値が大幅に下がります。状態が悪くても、絶対に手を加えないでください。修復が必要な場合も、専門の漆芸家による正規の修理が前提です。

【ポイント5】入手経路と時代背景を可能な限り調べる

故人がいつ・どこで・どのようにその品を入手したかという情報は、査定の大きな手がかりになります。これを骨董の世界では「来歴(プロヴェナンス)」と呼びます。

たとえば「祖父が戦前に中国で軍務についていた際に持ち帰った」「茶道の師匠から免状とともに譲り受けた」「画廊での個展会場で本人から直接購入した」といった来歴は、それ自体が真贋と価値を裏付ける情報になります。

可能であれば、ご親族から聞き取りをしたり、領収書・購入明細・展覧会のパンフレット・故人の手紙・写真などが一緒に残っていないかを確認しましょう。これらの付属資料があるかないかで、査定額は大きく変わります。

まとめ:迷ったらまず写真を撮って専門家に相談を

遺品整理で骨董品らしき物に遭遇した時、最も避けるべきは「自己判断で処分すること」です。一見ガラクタに見えるものほど、専門家の目で見ると価値があるという逆転現象は、現場では決して珍しくありません。

判断に迷われた際は、まずスマートフォンで全体・銘の部分・共箱・付属品を撮影し、骨董品買取の専門業者にご相談ください。当店では遺品整理に伴う写真査定・出張査定を無料で承っております。大切なご親族が遺された品を、適正な価値で次の所有者へとつなぐお手伝いをいたします。